冬の間は、栗園で「剪定」という作業をしています。
ノコギリと剪定ばさみで栗の樹の枝をひたすら切っています。
私の栗園には1,050本の栗の樹があり、
月3,500本ペースで、2月~4月の3ヶ月間はこの剪定をしています。
剪定を行わないとどうなるの?
① 栗は立木性なので放っておくと、あっという間に10m以上の大木になります。
② 栗は光要求量の高い果樹なので、直射日光が当たらないと良質な果実が育ちません。
つまり、直射日光の当たらない下部の方は枝も弱々しく、葉っぱも小さく、光合成部足で果実の質も低下します。
また、陽当たりや風の通りが悪いと病虫被害も確実に増えます。
③ 骨格の形が明確でないうえに、枝数が多過ぎたり、枝の方向も定まっていないと、
根から吸い上げた養分をどのルートを通って流したらいいのか、どの枝に優先的に流してほしいのか樹が迷います。
結果的に樹の中で養分のバランスが均一さを欠き、果実の品質、収穫量も安定しません。
というわけで、
① 真っ直ぐ上に行きたい気持ちをなだめて、
角度30~45℃ぐらいで少しずつ太陽に近づくように上昇してもらっています。
② 樹の高さを基本5m以内に抑えて、残したすべての枝、葉、実にまんべんなく直射日光が当たるように考えて切っています。
③ さらに、根から吸った水(養分と植物ホルモン含む)が、効率よくすべての枝葉に均一に流れることを意識して最終的な樹形を決めます。 ← これが一番難しい~!
私の場合、水に浮く栗は絶対に焼き栗として商品化しないと決めています。
水に浮くということは、水より重いデンプンが詰まっていないためです。
デンプンは光合成によって作られるので、直射日光不足が原因です。
デンプン比重の軽い栗は糖度も低くて味も落ちます。
私の焼き栗は一切甘味料を添加しません。
素材100%なので、いい原材料を育てられなければ焼き栗としての完成度も低下します。
だから、この「剪定」でデンプンの詰まった栗を育てることに命をかけているのです(^^)v
(2019/9/1 作成)
つづく